教室の作画過程 (2)

構図による見え方の違い」の続きです。タイトルの(2)は前回を(1)とみなした番号です。

 

前回は1点透視図における教室の作図を行いましたが、作図線のみで終わってしまいましたので、今回は作画を進めました。まずは机と椅子です。とりあえず2組ほど描いてみました。

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このレベルの絵で良ければ、描くこと自体は難しくないです。パースさえ取れてしまえば、単なる直線の集まりですので。問題は時間ですね。1組あたり1時間かかってます。もし30組描けと言われれば30時間かかります。実際には重なり合う部分の省略や、遠い部分の簡略化が可能で、作画の慣れなどもあるでしょうから、訓練を積めば教室フルセット5時間ぐらいでいけるかもしれません。

 

描いたパーツを教室内に配置してみます。

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こんな感じになりました。右側の椅子が引いてあるのは、人を座らせるためです。

 

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肝心の人ですが、今日の段階ではここまでしか進みませんでした。左が原案で、右はそれを元に起こしたラフです。ここから細部を詰めていくことになります。ポーズ的には比較的簡単な部類だと思いますが、それでも難しい箇所はあります。人を描く際に一番難しいのは背景オブジェクトとの接触部です。この場合、机に置かれた両手は最難関になります。この辺はデッサンに励むしかないんでしょうねえ。頑張ろうデッサン。ちなみにデッサンは結構好きです。

 

パース的に問題がないかを、背景と重ねてチェックします。

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細かい部分に拘らないならこれでも良さそうですが、しいて言えば膝周りと足の接地面が気になるかもしれませんね。結局のところ、人を描くのが一番難しいんですよ。机も椅子も難度は無いので、時間がかかるというだけで、はまることはないです。でも人ははまると何時間でも飛んでいきます。手とか手とか手とか!

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去年の年末に描いた絵(写真模写)です。デッサンとして見れば、全然出来は良くないですが、漫画やイラストでは、これよりも遙かに簡略化された描写しか行わないわけで、このレベルの作画ができれば、おつりがくるぐらいの合格ラインです。

でも描けないんですよ。これより簡単な描写がなぜかできない。たしかにデッサンや写真模写は現物という最高の資料があるのに対して、イラストの場合、資料を用意できなければ空想で描き切るしかありません。今描こうとしている構図と同じ写真を用意するのは案外難しいものなのです。

もちろん自分の手を見ながら描くという最強の解決策がある以上、当らずとも遠からずな描写はできるのですが、微妙におかしい絵になることは多々あって、意地になってそれを直そうとすると半日ぐらいは簡単に飛んでいきます。

 

何の話になってるんですかね。

閑話休題、床面のパターンについても解説しておきましょうか

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まず床の平面パターンを作ります。いまいちな出来ですが、あとでいくらでも差し替えられるので、とりあえずこれでいきます。視認性が悪いので、説明は別のパターンでやります。

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これを元に部屋全体のパターンを作りますが、まずは(絵として見えてる部分の)部屋の大きさを測る必要があります。

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アイレベルが既知であれば、寸法を測るのは簡単です。図の通り、アイレベルと部屋の横幅は単なる比例関係にありますので、比例計算のみで算出できます。

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また距離点が既知であれば、二等辺三角形を描くことで、部屋の奥行も同様の手順で求めることができます。

部屋の広さが判明したところで、Photoshopで同じ比率のキャンバスを作り、そこに先のパターンで塗りつぶしを行います。(目がチカチカするので、色を薄くしました)

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この例では画像全体が800x409ピクセルで、1マスが30ピクセルとなっています。つまり、8m×4.09mの部屋に対して、マスが30cmであるということです。このサイズはきっちり合わせておかないと、おかしな寸法のマスができてしまいますので注意してください。

ここから先が重要です。まず、Illustrator上に描かれた(パースのかかった)床の四角形をコピーし、それをPhotoshopに(チェック模様の描かれた画像ファイル上で)ペーストします。ペースト形式はなんでも良いですが、迷ったらシェイプレイヤーを選んでください。

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あとは上記手順通りですが、一応説明しておきます。

手順3と4はPhotoshop上の操作です。チェック柄のレイヤーを選択した状態で「編集 - 変形 - 自由な形に」を選択します。ここで行われるのは射影変換と呼ばれるちょっと特殊な変形で、ある平面画像を別のカメラ視点から見た画像に変換します。

手順3が終われば、シェイプレイヤーは不要なので削除するなり非表示にするなりしてください。次に手順4です。変形後のチェック模様はこのままコピペしてもイラレに貼り付けることはできるのですが、透明画素が白画素に置き換わってしまうようなので、やむなくファイルに保存します。このとき、透明画素を維持するため、必ずpng形式で保存してください。(bmpjpegは透明画素を扱えないので)

手順5。保存したファイルはIllustratorで開きますが、「ファイル - 配置」を使ってください。あとは整列機能で床面の四角形と同じ位置に合わせれば完成です。画像サイズは何もしなくてもぴったり合います。

 

Photoshopの変形はパースを一発で解決してくれる非常に便利な機能ですが、あくまでも平面を平面に変換することしかできないので、凹凸のあるものをこの変形機能で処理することはできません。その辺はソフトでやりたければ、3Dソフトを使うしかないです。

 

ではまた次回。2点透視とか3点透視もやる予定ではいます。でも、まずは1点の作画をきっちり終わらせるべきかな……