視心(VC)の配置
パースフリークスで視心をどこにおけば良いかという質問を頂きまして、重要な話ではあるので、作例を交えながら説明していきたいと思います。
最初に答えを言っておきますと、視心は原則として画面の中央に配置してください。ここで画面というのは絵を描く領域の話でして、例えば漫画であれば、1コマの中に描く絵のセンターという意味です。普通の1枚絵であれば、その絵のど真ん中です。縦方向横方向共に中央が理想ではあります。
しかし、現実には数多の理由により、このセオリーを外してでも視心をセンターからずらした方が良い場合もあります。
図の赤い長方形は画面(絵が描かれる領域)になります。この絵は1点透視図ですが、視心(VC)はセンターに配置していません。理由は構図上の都合です。
1点透視図で電車が向かっている様を描く場合、電車は視心の位置を出発点としてこちらに向かうことになります。地面や駅のホームを大きく描きたいという意図がある場合、視心を中央に持ってくると電車の上側や左側が広く取られることになりますので、都合が悪いです。よって、この絵では視心を中央からずらさざるを得ません。ただし1点透視図に拘らず3点透視図でも良いのであれば、視心を中央に持ってくることはできます。
ちなみに、絵が異常に広角なのは単なるミスです。描いた時期が各種理論を確立するよりも前だったもので(言訳)。本当はこんなに広角にはしない方がいいです。
次は2点透視図です。階段の作例です。
視心はセンターより少し上ですが、これも構図上の理由です。水平線より下には書きたいもの(階段、人物)がたくさんあり、上にはありませんでした。よって、水平線は画面内で中央より上側に配置することになります。水平線を階段の踊り場より上に置いたのは、そういう見せ方をしたかったからです。
2点透視図の場合、視心は水平線上に置かなければなりません。そして水平線が画面中央を通っていないのですから、必然的に視心も中央に置くことできません。ただし、横方向に限れば中央に置くことはできます。この作例でも、視心は横方向中央に置いています。
最後に3点透視図です。3点透視図は視心の位置を制御しやすいので、基本的には完全にど真ん中に置いた方が良いと思います。細かいことを言えば例外がないわけでもないですが、それはまた別の機会に。
この作例では完全に制御しきれず、少し中央からずれていますが、このずれは意図的に行ったものではないです。本当は完全な中央が望ましいです。
最後になぜ視心は画面中央に置くべきなのかという理由についてですが、これはひとえに透視図の性質的な問題です。透視図は広角領域ほど画がゆがむという性質を持っています。言い換えると、視心の近傍はもっともゆがみが少なくきれいに映る領域であり、視心近傍がより多く画面に入る配置、すなわち視心を画面中央に置くのが良いという結論になります。