お正月漫画

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

今年も漫画を描いてみました。
 

※本作はフィクションであり、実在する人物その他との関係性はありません。

※この漫画は横書き形式のため、左から右(→)に向かって読んでください。

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今年こそはパース講座を漫画でやりたいと思っていますが、前途多難です。1ページ描くのに涙が出そうなほど時間が掛かっていて、速度アップが必要な状況です。キャラの簡素化、難度の高い構図の回避、線量を減らす、デッサンの狂いに目をつぶる、等を実行すれば速くなるのは間違いないですが、当然ながら質は下がってしまうので、悩むところです。画力を上げるのが一番ですね。まあ、納期があるわけでもないので、ぼちぼち描いていきます。

一応構想はできあがっていて、「透視図の定義」「画角の測り方」「消失点の発生原理」あたりを説明できたらいいな、と思っています。どれもパースフリークスで説明しているとはいえ、明快な解説になっているとは言いがたいので、漫画で補足したいと思ってます。(漫画で行うのは概念の説明のみで、詳細はパースフリークスをご覧ください! という展開になる予定です)

特に透視図の定義はメチャクチャ重要なんですよねえ。消失点(VP)はパースの本であれば絶対載ってるというぐらい有名ですが、視点(SP)と画面(PP)は十分に説明できていないことが多いので。

透視図法は、まずSPとPPを説明しないと始まらないんですよ。しかし、これを分かりやすく説明するのは意外とやっかいで、ある程度理解が進んでも「で、今描いてる私の絵のSPはどこ?」という疑問が必ず出ます。SPはあなたの描いている紙の上、空中に浮かんでいます。それを漫画で説明したいなと。(パースフリークスでは○点透視の画角の測り方でSPの求め方を説明していますが、サイト構成上、そこだけ読んでも分かるようにはなってません)

 

ここから先はお正月漫画についてのコメントでも。

1.作画

背景は描き込みが少なかったこともあり、意外と速く描けました。問題は人ですよ。背景の5倍は時間かかってます。俯瞰が思ったよりすんなり描けない。斜め下を向いたときに顔のパーツがどう変形するかとかも意外と分かってなかったりで手こずりました。

あとは姿勢ですかね。2ページ目。「上着を脱ぐ」「上着を抱える」「包丁で野菜を切る」「盆を持つ」「配膳する」。これらの日常動作が何気に手ごわかったです。

特に難しいのは表情と手です。手はいわずもがな関節が密集しており、いずれもが(方向と角度の両方で)広い可動域を持っているため、メチャクチャ複雑な形を形成します。これとカメラ視点を組み合わせると「組み合わせは無限大!」とかいうキャッチコピーを使いたくなるぐらい、バリエーションに富んだ輪郭を生み出します。

手は自分が持つ現物を見て描くのが、一番てっとりばやい解決法です。しかし絵と同じ視点から見るというのは意外と難しいので、自分の手はポーズを作るだけに留め、このポーズを別視点から見たらどう見えるかについては、想像して描く方が訓練になるのではないかと思っています。(実際、私はそうやって描いてます)

よく「想像で描いてはいけない」と言われますが、それは3Dの構造を分かっていないものを確認もしないで適当に描いてはいけないという意味であって、3D的には分かっているものの、ある視点からの見た目だけが分からない場合は、想像力を使って解決できた方がいいです。写真資料だって、絵の視点とドンピシャ同じものなんてそうそう手に入りませんし。

手に並んで難度が高いのは、目や口に代表される顔パーツです。これらは可動こそ大人しいものの、僅かな狂いでも目に付くという怖さがあり、やはり難解です。なんだかんだで最重要部位ですからね。あとは喜怒哀楽の表現。漫画は「思った表情が作れるか」が肝だと思っています。(表情の研究は全然できてません)

次にやっかいなのは腕ですが、私の場合、関節の位置(肩、肘、手首)に目星を付け(○などを描いて)、それらをつなげるという構築方法を取ってます。肌がむき出しであれば、それほど難しくもないですが、服がかぶさると、肘のあたりがよく分からなくなったりします。

 

ポーズについて。ポーズというのは、日常的に取っているものでも意外と分かってなかったりします。私は毎日料理をしているので、当然包丁も握っていますが、食材を切る際に身体の向きがキッチンの軸に対して斜めを向くことに気付いていませんでした。(去年のバレンタインで描いた漫画も包丁握ってるんですけどね。あの絵も微妙におかしくて、左腕をあんな風に曲げたらつらいです)。料理しない方はナイフとフォークで食べ物を切る場面を想像してみてください。テーブルの軸に対して斜めに切ってると思います。包丁の場合は、斜めには切らずに身体を斜めに向けることで、軸に沿った切断を可能にします。そうしないと、まな板の使用効率が悪くなるので。
 

2.ネーム

ネームというのは漫画業界の専門用語で、コマ割りとセリフ、そして簡単な作画を行った草稿のことを指します。これを見れば、漫画の展開はすべて分かるので、編集者との打ち合わせ等で使われるわけです。またここまで作業が進んでいれば、とりあえず完成は見えます。漫画はネタが思い浮かばなければそれまでですが、ネームさえできていれば、あとは時間を投入すれば描けることになるので。(その時間が問題なんですけどね)

今回の漫画のネームはこんな感じになってます。最初は人を○とかで簡単に描いて、固まってくれば、もうちょっと描き込みします。できれば表情まで作っておくと、作画の段階になって悩まずに済みます。(あとになって、どんな表情にするつもりか忘れてしまったりするので)

パースはネーム段階でも、目測でざっくりと取ってます。

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3.パース

一部の簡単なコマを除いて、パースはそこそこ正確に取りました。例によってIllustratorです。今回は俯瞰二点透視を多用してます。介線法が便利でした。

俯瞰二点透視(P1-1)、俯瞰二点透視(P1-2)、一点透視(P1-3)、二点透視(P1-4)、一点透視(P1-5)、俯瞰二点透視(P1-6)、二点透視(P2-1)、俯瞰三点透視(P2-4)、俯瞰二点透視(P2-6)、平行投影(P3-1)、平行投影(P3-3)、俯瞰二点透視(P3-4)