透視図法の記号について
透視図法の記号(SP等)をどう表記すべきかについて、パースフリークスのメールフォームよりご意見をいただきましたので、ここで私の見解を述べたいと思います。
頂いたご意見は掻い摘むと、観測者の足元(Standing Point)と観測者の目の位置(Station Point)はどちらも表記がSPであり、3次元的に異なる2つの点に対して同一記号を割り振るのは混乱の要因となるため、目の位置はEP(Eye Point)と表記すればどうでしょう? というものです。(現在のところ、EPと表現しているのは円の描き方 - 円 - パースフリークスP19~のみです)
これはもっともなご意見でして、私としても現在の記号の用法に関しては、問題があると感じています。SP以外にも、視心(VC)と心点(CP)の区別は必要であると感じていますが、サイト内で使用されている画像ファイルは2000個程度あり、画像に埋め込まれた文字を1つ1つ変更していくのは、結構な作業量になります。
妥協案として新規に作る分だけでも表記を変えるという対応が考えられますが、既存コンテンツとの共存を考えたとき、表記に統一感がなくなるという問題点が発生します。
さらにより大きな問題があります。透視図法の用語や記号は、結局のところ何が正しいのか、正確なところが分かっていません。学校の主要教科のように教科書に載るレベルの内容であれば、正確な用語が定義されているでしょうし、教科書の執筆陣もそれなりに権威のある方々であると思います。
ところが透視図法のようなマイナー分野となると『この本で定義される用語は広く世間に通用しており、また著者はその分野の著名人である』といった条件を満たす書籍がないような気がします。(あるかもしれませんが私がその存在を知りません)
ものは考えようですが、言葉というのは深く考えないのであれば、単なるコミュニケーションツールにすぎません。極論を言えば、パースフリークスの中でのみ通用する用語を定義しても、問題ないと言えばないのです。重要なのは図法の中身であって、言葉や記号ではないからです。とはいえ、他の書籍を併用したり、知人友人と議論する際には、独自用語の使用が問題を生む可能性があります。
頭の痛い問題ではありますが、現状これをすっきりと解決する手段が思い浮かびません。しいて言えば、和洋を問わずより多くの文献にあたり、多用されている用語をまとめるぐらいでしょうか。
最後にSPおよび視心&心点について、新たに調べ直した内容を以下にまとめます。
1.SPについて
パースフリークスでは観測者の立ち位置をStanding Point(SP)、目の位置をStation Point(SP)と定義しています。Standing Pointに関しては立ち位置以外の解釈がなさそうですが、Station Pointについては「目の位置」と「立ち位置」の両方の意味合いがあるようです。
どちらの意になるかは文脈次第であり、『正解はこちら』と言えるものではありません。よってパースフリークスでは(世間の解釈がどうであれ)「目の位置」で通します。
言葉の由来ですが、人間の目は普段ふらふらと動いており、様々なものを動画的に捉えています。ところが透視図法においては、観測者はある位置に固定されなければなりません。Station PointにおけるStationとは、固定される位置を指すようで、すなわちStation Pointは(目の位置か、立ち位置かはともかく)観測者の位置を指すことになります。
両者の解釈が曖昧になるには理由があります。透視図は平面図とセットで描くことが多いですが、平面図は文字通り平面に対する図であり、座標的にはXとYの2次元です。そこには高さ方向の情報Zが含まれないため、立ち位置も目の位置も同じ座標を指すことになります。ここで平面とは多くの場合、地面を指しますので、SP=立ち位置と解釈した方がすっきりします。
2.視心および心点について
パースフリークスでは視円錐の中心軸を視心(Visual Center)と定義し、視円錐の中心軸とPPの交点を心点(Central Point)と定義しています。ただし、実際には視心と心点を厳密に区別せず、どちらも視心と呼んでいます。
これも改めて調べてみると、視心と心点はどちらも同じ意味で『視円錐の中心軸とPPの交点』を指す、が正解の気がします。では視円錐の中心軸は何と呼ぶかですが、今のところ明確な答えがありません。
こちらもパースフリークス内での意味は冒頭に記述した通りで通します。確実に誤りであると分かれば修正を考えますが、現状何が正しいのか分からないので。
なお、視心の英語表記ですが、Visual CenterよりもCenter of Visionの方が一般的かもしれません。その場合、略記はVCではなくCVになります。実際VCなんて表記を使ってるのはパースフリークスぐらいで、他ではあまり見かけませんね。