透視図法の用語について

私の運営するパースフリークスというサイトは、透視図法を幾何学的側面から徹底的に分析し、なおかつ説明が煩雑になりがちな箇所をスライドによる図解を行うことで、理論と作図法をバランスよく伝えることを目的としています。

とはいえ、実際にパースを使って絵を描こうとすると、理論を作画のどの部分に当てはめれば良いかという、いわゆる運用的観点からの技術説明が必要不可欠で、その点パースフリークスは理論一辺倒なので、このブログが補完的役割を果たせれば良いなと考えています。(いずれは向こうにも反映させたいんですけどね。どうまとめれば良いかは、すぐに答えが出るわけではなく)

 

サイトを作る上で1つ問題となっているのは、用語の定義が曖昧なことです。透視図法は発祥が海外なので、元の言葉は英語等で定義されているはずで、それを学者によって翻訳されたものが日本語の透視図法用語だと思います。ところが肝心の訳語が一貫しておらず、同じ意味を持つエイリアスがやたらと多いです。(もっとも英語の方も似たり寄ったりで、その迷走感がそのまま日本に輸入されたと考えられなくもないです)

特に困っているのはSPです。「視点」「立点」「停点」「立ち位置」等、いくつかの訳語が割り当てられています。英語にしても、station point、spectator point, standing pointなど、いくつかの表現があります。どれもが同じ意味を持つのであれば、代表して1つの表現を使うようにすれば良いだけですが、SPに関してはそう単純な話ではありません。

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本来、観測者の目の位置(3次元座標)は「視点(station point)」であり、「立点(standing point)」は観測者の足元(2次元座標)を指す用語のようです。平面図上はどちらも同じ位置にプロットされるので、特に問題にはならないですが、側面図等を描くときは立点という言葉は使わない方が良いかもしれません。(宙に浮いている点を立点と呼ぶのは気持ち悪いですからね)

パースフリークスで使っている用語は、書籍およびWEBで収集した情報が元となっていますが、多数ある類似語のどれを使うかは、私の独断と偏見によるものです。station pointは英語版Wikipediaの情報を信頼するならば、観測者の目の位置(3次元座標)という解釈で問題なさそうです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Station_point

「足線」も同じで、3次元的には「視線」と表現する方がよく、足線は観測者の足元から地面を這うように伸びる線を指すと思われます。これも平面図的には同じ位置に引かれるので、足線と表記して問題ないですが、側面図や立体図の場合は視線と書いた方がよいでしょう。

また足線法も、どうやら平面図と消失点を併用する作図法を指すようで、パースフリークスで紹介しているような平面図と側面図を使う方法が、これに該当するかは分かっていません。どちらにしても言葉の定義だけの問題であり、作図的に誤りがあるわけではないので、その点はご安心ください。

 

これだけでは中身がないので、今日中にもう1記事ぐらいポストしたいところですが、時間が許すかどうか……