垂直二点透視

まだ下書き段階ですが、垂直二点透視の作例を描いています。

垂直二点透視とは文字通り垂直方向に消失点が2つ発生する二点透視のことですが、呼び方自体は正式名称でも通称でもなく、私が勝手にそう呼んでいるだけです。適当な呼び方がないんですよね。誰か偉い人が定義してくれないかな。

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宙に浮いている感じがあまり出てないですが、一応3Pシュートのつもりで描いてます。シューターの子はゴールの約7m手前におり、カメラはさらに6mぐらい手前にいます。つまりまずまず望遠の絵ということになります。

構図としてはローアングルかつゴールと頭を(画面上で)同じぐらいの高さに投影させたいという思いがありましたが、カメラをシューターに近づけると、相対的にゴールの位置が下がってしまうので、ある程度離さざるを得ませんでした。

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仰角は12度なので高さ方向の消失点がかなり遠いです。このぐらいだと1点透視と大差がないため、作例としてはいまいちですが、描いてしまったものは仕方がないので、このまま話を進めます。

垂直方向にパースがかかると、作図上不便なことがあります。それはアイレベルが寸法基準として使い難くなるということです。この絵はアイレベルが床上50cmとなっていますが、これを元にゴールの高さ(約3m)を測るには次の手順が必要です。

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辺ABは床面からアイレベルまでを指しますので、長さは50cmです。この線が斜めを向いているのは、高さ方向にパースがかかっているためです。もしパースがかからなければ、このまま辺の長さを6倍して、300cmの辺を作ることができます。

パースのかかる辺の長さを操作するには、一旦パースのかからない向きに回転させる必要があります。そこで図の通り測点MP2を利用して、Aの垂直線上にBに対応するB'を求めます。辺AB'はパースがかからないため、これを単純に6倍してC'を求めます。その後、再び測点を利用して辺ABの延長線上にCを求めます。するとACの長さはきっちり6倍の300cmとなります。(ここで紹介した操作をするだけであれば、測点にこだわる必要はなく、消失線VP1-VP2上の任意の消失点を使用すれば、同じ結果を得ることができます)

さてCの位置を見る限り、概ねゴールの高さと一致しています。したがって、この絵はそこそこ正確に寸法出しができていることになります。

 

などという説明をすると、パースって大変だなと思うかもしれませんが、図の性質をきっちり理解できていれば、臨機応変に手抜きができます!!

実のところ、今回は上記の小難しい手順を踏んでおらず、単純に比例計算で高さ方向の寸法を出しました。なぜそんなことが許されるかというと、仰角12°程度では、せいぜい2~3%ぐらいしか誤差が出ないからです。

その理由を解説しだすと、ブログ1記事分ぐらいの長さになってしまいますので詳細は割愛しますが、三角関数表を見てcosの値が1に近い角度であれば、比例計算で代用しても、そこそこの精度が出ますとだけ言っておきます。

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