広角と望遠の違い (3)
「広角と望遠の違い (2)」の続きです。
いろいろおかしいところもあるかもしれませんが、頑張って描き分けてみました。
望遠(左)と広角(右)
右は広角の絵ですが、奥にいる人物を4倍ズームしたものが左です。
まずは見た目の違いを見ていきましょう。アイレベル付近は目立った違いがありませんが、アイレベルから離れるほど差異が顕著になります。明らかに異なる点は靴でしょう。広角の靴は斜め上から見たような感じになっていますが、望遠の靴は正面から見た感じになっています。(靴の見た目が変わるのは、この絵のアイレベルが高いからです。仮にアイレベルが地面付近にあれば、両者の違いはほぼ無くなります。ただし、顎などの高い位置にあるものの見た目が変わります)
次に靴下とスカートですが、広角の方が丸みが強く、望遠はほぼ直線となっています。全体的には、広角は体の厚みが感じられ、望遠は平べったく見えます。
奥行方向の短縮率について説明します。
広角の人物はカメラから2.5mの距離にいます。望遠の方は10mです。つまり4倍離れています。仮にこの絵が二点透視ではなく、一点透視だとするなら、次の関係が成り立ちます。
広角の人物の幅、高さ、奥行きをそれぞれx,y,zと置きます。このとき、奥の人物の大きさはx/4、y/4、約z/16となります。なぜなら、透視図における物体の大きさは距離に反比例し、奥行方向については概算で距離の2乗に反比例するからです。
さて、ここで手前の人物と比較するため、奥の人物を4倍にズームしたとします。するとxとyに関しては同じ大きさになりますが、zのみ1/4の大きさになります。つまり同じ大きさにして並べた場合、奥行方向の大きさのみ、(概算で)距離に反比例するということです。
とまあ、思いつく相違点などをまとめてみましたが、この手の描き分けは人物単体で描いていては難しいです。周囲に背景が描かれていれば、自然と流れに沿った描写をするようになるので、なるべく背景とセットで人を描くようにした方が良いと思います。(ということを上掲2枚の絵を描いていて感じました)