3点透視のなにが難しいか

昨日のエントリ「パースのなにが難しいか」の続きとして、「パースは勘で描きにくい」というテーマを書こうかと思いましたが、綺麗にまとめきれていないので、ちょっと脇道に逸れたいと思います。

今日のテーマは3点透視です。
透視図法の分類法として1点透視、2点透視、3点透視というものがあります。これは観測者の視線の向きと空間の座標軸の関係によって決定し、3つの座標軸のすべてが、視線の向き(VC)と直交していなければ3点透視になります。

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実際に描いたことがある人なら分かると思いますが、3点透視は作画がものすごく大変です。理論も頭が割れるぐらい難しいので、3つの消失点をどこに配置するかの段階で多くの人が挫折します。

では、実際になにが難しいのかをまとめてみましょう。

1.消失点が遠い

昨日と内容が被ってるように見えるかもしれませんが、昨日のエントリとはちょっと意味合いが違います。


3点透視は3つの消失点を持ちますが、このうち画面の中に入るのは標準的な画角であれば0個または1個のいずれかです。もし2個ないし3個の消失点が画面内に入っていれば、確実に広角な絵になりますので、消失点の位置を見直してください。
しかし0個か1個のどちらかといわれると、なんとかその1個だけでも画面内に入れようと画策するかもしれません。しかしそれは孔明の罠というやつでして、消失点の1個が画面内に入ると、その反動で残り2つが泣きたくなるほど遠くへ行ってしまいます。(昨日の画像がまさにそれです)

 

1つ例を挙げましょう。観測者の前方に50°傾いた箱が置いてあるとします。この箱を俯角70°で見下ろしたときの透視図を考えます。

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 記号や図形が密集して見づらいですが、中央のPPと書かれた濃い赤の長方形が紙だと思ってください。つまり絵はPPの内側に描きます。そして3つの消失点はVP1,VP2,VP3です。VP3は画面内に入っていることが確認できますが、その反動としてVP1とVP2がとんでもなく遠くに配置されてしまいます。

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一般論として。仰俯角を90°付近にすると、1点透視に限りなく近くなるので、VP3が画面内に入ります。そしてVP1とVP2がかなり遠くに行きます。そして仰俯角を90°ジャストにすると、完全な1点透視図になり、VP3と視心(VC)が一致します。同時にVP1とVP2無限遠に行って消滅します。


もし適正画角を維持したまま消失点を可能な限り近くに配置したいのであれば、3つの消失点が正三角形を描くように配置してください。本当は作図の楽さを求めて消失点を決定してはいけないんですけどね。でもとりあえず練習でなにかを描きたい場合は、正三角形(あるいはそれに近い形)の消失点をお勧めしておきます。

 

最後に消失点の配置が正三角形となる作図パターンを掲載しておきます。
箱の回転角は45°なのに対して、俯角は約35°となることにご注意ください。

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 三点透視の作図理論はパースフリークスで詳しく解説しています。

 

※「3点透視のなにが難しいか (2)」に続きます。