3点透視のなにが難しいか (3)
前回のエントリ「3点透視のなにが難しいか (2)」の続きです。
3点透視で机のラフを描いてみたところ、視心が画面内に入らないという問題が発生していましたが、それを改善したのが下図です。
前回の図と比べると、視野をより広く利用していることが分かると思います。また俯角も59°となり、この消失点配置で線画を修正すれば、見下ろし感が強くなると予想されます。
では、ラフ画を修正してみましょう。
机の脚に注目してください。VP3が近くなったことで、パースの掛かり方が強くなっていることが確認できます。ラフの段階では曲げ方が緩かったですが、これは曲げの度合いを判断するのが難しかったからです。3点透視では重力方向にもパースがかかりますが、どの程度線を曲げれば良いかは判断に悩むところです。
実際、机の現物を見ていただければ分かりますが、肉眼ではパースを感じにくいです。と言っても、パースがかかっていないわけではありません。事実カメラのファインダを通せば、パースのかかりがはっきりと実感できます。また肉眼であっても、四角いフレームを通せば、やはりパースの存在を確認できます。
ラフ画(左)と修正画(右)
3点透視らしくなりましたね。1つ注意すべきは、重力方向の短縮率です。修正案は机の脚がかなり短くなっていますが、見た目は悪くなさそうです。寸法は幅80cm×奥行52.5cm×高さ60cmで正確に出してあります。
一般に仰俯角が大きくなると、重力方向の長さは(見かけ上)縮みます。この現象はパース用語で「短縮」といいます。短縮の度合いは特に間違えやすいので注意してください。慣れないうちは奥行方向の辺を必要以上に長く描いてしまいがちです。
なお浅い仰俯角では重力方向の短縮はほとんど発生しません。
寸法出しも説明しようかと思いましたが、ブログ内で行うと煩雑になりそうなので、今日のところはやめておきます。寸法は測点というものを使えば正確に測ることができます。詳細はパースフリークスで解説しています。
※テーマが少し変わりますが「パースに合う人物の描き方」に続きます。