顔にかかるパース
これまでは人体にかかるパースの影響を見てきましたが、当然ながら人体の構成要素である顔に対してもパースはかかります。というか空間上に存在するすべてのものにパースはかかります。パースの魔の手からは誰も逃げられないのです。
最初にパースと関係のない話を1つ。紙の大きさについて。
私は普段B5のクロッキー帳に絵を描いています。そこに全身を収めた場合、眼球の大きさは約5mmになります。デフォルメされた大きな目玉にも関わらず5mmです。小さいんですよ描きにくいんですよ。
1cmあれば楽に描けます。でもそうなると紙の大きさも倍にしなければならず、B3の紙が必要です。そんな大きな紙では作業中に回転させるのも大変で、スキャンするときも分割スキャンになるので不便です。
この絵は胸より上しか描いていないので、目の大きさは約13mmあります。それだけあれば細部まできっちり描き込めます。
なにが言いたいかというと、絵を描く際には紙の大きさが超重要だということです。人間の手の分解能には限界がありますので、小さすぎると描けるものも描けません。もちろん原稿サイズの制約から小さい描写が要求される場合はあります。それでも、まずは大きい紙で確実に描けるようになってから、小さい紙に移行した方が良いと思っています。
ただし大きい紙の欠点として、絵全体を俯瞰しづらくなってバランスが取り難くなる点が挙げられます。結局は一長一短なんですが、それでも総合的に判断して大きい紙の方が描きやすいと思います。
本題いきます。
顔を覆う箱(一辺が30cmの立方体)を描きました。顔のパーツは箱のラインに沿う必要があります。
改めてみるとなにか歪んでいるように見えますが、まあ気にせずいきます。
紫のラインはあたり線です。これは説明のためのものというより、実際に絵を描くときに引いています。普通は十字を描くようですが、私は目の上下に2本引く方法を取っています。また縦ラインは正中線といい、横顔を描くときに現れる輪郭線と同じものです。こうやって見ると、鼻の真下に口が来ない理由がはっきりと分かりますね。
注意したいのは、顔は平面ではなく、曲面だということです。顔のパーツは曲面上に載っていますので、パースの影響で変形することがあります。
目の周辺を手で触ってもらうと分かりますが、目頭のあたりは比較的平面で、目尻を境に急激にカーブします。つまり紫のラインのように曲がっているわけです。
となると、目尻はパースラインに沿って通常よりも下方向に引き寄せられるはずです。(と解説しておきながら、この絵はそうなっていませんね。不完全なサンプルですみません)
思ったより説明が難しいですね。次回は俯瞰のサンプルでも描いてリベンジといきましょうか。私もまだ顔の描き方は研究中でして、本当は目蓋と眼球の立体感も表現したいと画策してたりします。