視心(VC)の配置 (2)

昨日の続きです。

視心をどこに置くかという話題でしたが、今日は不適切な配置を例に取ります。

f:id:reminica:20151203121113j:plain

作例:2点透視図

この絵の主役はパイプ椅子です。人物はなんとなく描いてみただけのおまけだったりします。

パイプ椅子は簡単に見えて、意外と作画が難しい強敵です。それはさておき、このパイプ椅子、なにかおかしく見えないでしょうか?

 

余談ですが、この絵は前景と背景を別々の紙に描いた後、デジタル環境で合成しています。両者のパースを合わせるのが結構大変だったりしますが、そこはなんとか。

f:id:reminica:20151203121143j:plainf:id:reminica:20151203121201j:plain

もしかすると私の目がおかしいだけかもしれませんが、地面と接しているパイプのうち前側(靴のすぐ後ろ)の延びる方向が不自然に見えます。しかし透視図法的には間違っていません。

f:id:reminica:20151203122202p:plain

この絵は2点透視図なので、視心(VC)は水平線(HL)上にあります。上から見下ろす俯瞰絵にしたかったので、水平線は人物の頭よりも上に置いています。

ここで問題となるのが、画角です。60°視円錐は図に示す位置にあり、足元はかなりの広角領域にあることが分かります。

広角領域にあるものは正しい透視図法で描いても、ゆがみが発生して不自然に見えます。画角を改善するには、カメラを遠ざけるのが一般的ですが、カメラを離すとパース感が弱くなるという問題があります。具体的には、奥行が短縮し、椅子がより潰れた感じになります。

この絵に関しては、VCより上が画面の外側であることから、カメラを下に傾けた方がより自然に画角を改善できます。

もちろん、カメラを上下に傾けると、2点透視図ではなく3点透視図になってしまいますが、この絵のようにVCの片側だけが画面内に入る構図であれば、カメラを傾けた方が自然な画になります。

修正した絵があれば良いのですが、まだ描いていないので、今日はこの辺で。VCを画面の端に置くのは、好ましくないという例でした。一応、全体のパース図も上げておきます。VP1sはパイプの傾斜消失点です。描いてませんが、斜め下にも傾斜消失点は必要です。

f:id:reminica:20151203123730p:plain